長文読解の攻略法として、スラッシュリーディングってよく聞くのではないでしょうか。
「やれば必ず読めるようになる魔法のテクニック」だと思っている生徒さんは、けっこう多いです。
実際に実践しようとして「スラッシュってどこに入れればいいんですか?」と聞かれることが本当に多いです。
ただ、正直なところ、スラッシュの入れ方を間違えると逆効果になることもあるんです。
今日はそのあたりを、私の指導経験も交えながらお話ししていきますね。
スラッシュリーディングは「正しくやれば」効果あり
結論から言います。スラッシュリーディングは効果があります。ただし、正しいやり方で練習した場合に限ります。
「なんだ、条件付きか」と思うかもしれませんが、ここは本当に大事なポイントなんですよ。
というのも、私が見てきた生徒さんの中には、思いつくままにスラッシュを入れすぎて、余計に読みにくくなっている子が山ほどいるからです。
スラッシュリーディングの本来の目的は、英語を前から順番に理解していく力をつけること。
ここを忘れてはいけません。
日本語に訳すときのように、後ろから戻りながら読むクセを直すためのトレーニングなんですね。
なぜ英語を「前から読む」必要があるのか
英語を前から順番に理解するための方法がなぜ必要なのか、ちょっと考えてみてください。
リスニングのとき、英語は前から順番に聞こえてきますよね。
後ろから聞き直すなんてできません。
長文読解も同じで、戻り読みばかりしていると時間が足りなくなるんです。
特に共通テストは文章量がものすごく多いので、前から処理できないと間に合わないんです。
だからスラッシュリーディングで「意味のかたまりごとに前から理解する」練習をするわけですね。
スラッシュを入れる位置の基本ルール
「わかりました!」といきなりスラッシュを入れようとして、「なんとなく切れそうなところで切る」という生徒さんが多いんですが、それだとバラバラになりすぎます。
スラッシュの入れ方にも、ルールがあります。基本的なものをまとめました。
| 区切る位置 | 具体例 |
|---|---|
| 前置詞の前 | I went / to the library / with my friend. |
| 接続詞の前 | I stayed home / because it was raining. |
| 関係代名詞の前 | The book / which I bought yesterday / was interesting. |
| to不定詞の前 | She went to the station / to meet her friend. |
| カンマの位置 | In Japan, / people take off their shoes / at the entrance. |
ポイントは、「意味のかたまり」を壊さないことです。
たとえば「to the library」を「to / the / library」と細かく切ってしまう生徒がいるんですが、これはNGです。
「図書館に」というひとかたまりの意味なので、まとめて処理したほうがいいんですね。
おすすめの「区切りの感覚」の身につけ方
ルールはありますが、それらをそのまま全部覚えようとすると大変です。
だから私は生徒さんたちにこう伝えています。
「日本語で言い切れるところで切れ」と。
たとえば「I went to the library」なら、「私は行った/図書館に」と日本語でも切れるし、意味のまとまりとして捉えられますよね。
でも「to the library」を「to / the / library」で切ると、「~に/その/図書館」となって、ただだの単語の羅列になり、文としての意味が全く分かりません。
文の内容を理解するためなのに、文としての意味が成り立たないところで区切ったら、まったく無駄な作業になってしまいますよね。
この「日本語で言い切れるか」という感覚は、最初はピンとこない生徒さんも多いんです。
でも10文くらい練習すると、だいたいの子がコツをつかんできます。
実際にスラッシュを入れる練習をしてみよう
では実際にやってみましょう。まずは自分でスラッシュを入れてみて、その後で答えを確認してくださいね。
【例文1】
The students who joined the volunteer program learned a lot from the experience.
【区切り方】
The students / who joined the volunteer program / learned a lot / from the experience.
「生徒たちは/ボランティアプログラムに参加した/多くを学んだ/その経験から」
【例文2】
She decided to study abroad because she wanted to improve her English skills.
【区切り方】
She decided / to study abroad / because she wanted / to improve her English skills.
「彼女は決めた/留学することを/なぜなら彼女は望んだから/英語力を向上させることを」
【例文3】
According to the survey, more than 80% of teenagers use social media every day.
【区切り方】
According to the survey, / more than 80% of teenagers / use social media / every day.
「その調査によると/80%以上の10代が/SNSを使う/毎日」
【例文4】
It is important for us to think about environmental problems seriously.
【区切り方】
It is important / for us / to think about environmental problems / seriously.
「重要だ/私たちにとって/環境問題について考えることは/真剣に」
例文1は関係代名詞を使った文です。
「who joined the volunteer program」は「ボランティアプログラムに参加した」という意味で、直前の「The students」を説明していますよね。
この部分をひとかたまりとして処理できると、主語が長くても迷わなくなります。
例文4の「It is 〜 for 人 to …」の形は本当によく出ます。for usの前後で切れることを覚えておくと楽ですよ。
最も役立つのは、長い主語を見抜くとき
私の経験上、スラッシュリーディングが特に効果を発揮するのは長い主語を見抜くときです。
たとえばこんな文。
The number of people who work from home has increased since 2020.
この文の主語はどこまででしょう?
答えは「The number of people who work from home」まででです。
動詞は「has increased」です。
生徒がよく引っかかるのがここで、「people」を主語だと思って「have increased」を探してしまうんですよね。
でもスラッシュを入れる練習をしていると、「The number of people / who work from home /」という区切りが見えてくる。
すると「あ、主語はThe numberだからhasだな」と判断できるわけです。
余談ですが、共通テストの長文って、こういう「主語が長い文」がやたら多いんですよ。
出題者も意図的に入れてるんじゃないかと思ったりします。
だからこそ、普段から区切りを意識する練習が効いてきますよ!
スラッシュリーディングの注意点
最後に、やりがちな失敗パターンを2つだけお伝えしておきます。
1つ目は、スラッシュを入れることが目的になってしまうこと。
あくまでスラッシュは補助輪です。
最終的には、スラッシュなしでも前から読めるようになることがゴールなので、慣れてきたら、徐々にスラッシュを減らしていってくださいね。
2つ目は、全部の文にスラッシュを入れようとすること。
短い文や簡単な文にまでスラッシュを入れる必要はありません。
「読みにくいな」「構造が複雑だな」と感じる文だけでOKです。
スラッシュリーディングは「読むスピードを上げる」というより「英語の語順で理解する頭を作る」トレーニングです。
だから最初は時間がかかっても焦らないでほしいんですよね。
続けていれば、ある日急に「あ、前から読めてる」と実感できる瞬間が来ますから。
まずは1日数文からでいいので、ぜひ試してみてください!!


