英語の「t」が「ラ行」に聞こえるのはなぜ?フラッピングの仕組みと聞き取りのコツ

「リスニング問題でwaterを、ウォーターじゃなくてウォラって言うから、何言ってるかわかんなかったんだけど」と先日も生徒さんに愚痴られました。

確かにこの音の聞こえ方については、教科書でも学校でも、説明されることは少ないです。そして、リスニングで点を落とす原因の一つがまさにコレです。

ネイティブが読むと、スペル通り・発音記号通りに聞こえない謎について、スッキリ解決しましょう。

「t」がラ行に化ける現象、その正体は「フラッピング」

アメリカ英語では、母音に挟まれた「t」は、読むときには「ラ行」のような音に変わることがあるんです。(実はイギリス英語だと「ウォーター」と日本語読みに近くなったりするんですよ)

この現象を「フラッピング(flapping)」と呼びます。
じゃあ、どんな時にフラッピングが起きるのかを確認していきましょう。

条件①:tが母音と母音の間にある
これが基本中の基本です。
waterなら「water」、つまりaとeという母音に挟まれてますよね。

条件②:tの後ろの母音にアクセントがない
つまり、tの後ろの母音にアクセントがある場合は、フラッピングは起きません。
例えばattackはどうでしょう?
tが母音に挟まれてるけど、後ろの「a」にアクセントがあるので、フラッピングは起きないんです。日本語の「アタック」に近い読み方になります。

条件③:主にアメリカ英語で起きる
先ほどチラッとお伝えしましたが、フラッピングはイギリス英語ではあまり起きません。同じ単語でも、アメリカ英語とイギリス英語だと、まったく違うように聞こえることも少なくありません。

余談ですが「d」でも同じ現象が起きることがあります。ladderが「ラダー」じゃなくて「ララー」みたいに聞こえたり。これもフラッピングの仲間です。

代表的なフラッピング単語一覧

リスニング問題でよく出てくる、「思ってるのと聞こえるのとで音が違う!」単語一覧をご紹介します。自分の口で、実際に発音しながら確認してみてください。読むだけよりも理解度がグンと上がりますよ。

単語 教科書的な発音 フラッピング後の発音
water ウォーター ウォラー
better ベター ベラー
city スィティ スィリィ
butter バター バラー
little リトル リロゥ
matter マター マラー

カタカナで書くと少し変な感じがしますが、実際に口に出してみたら、「あ、確かにそう聞こえてたかも!」となるはず。

余力があれば、YouTubeでアメリカのドラマやニュースを聞いてみてください。この現象がバンバン出てきますよ。

単語をまたいでフラッピングすることもある!

フラッピングが起こる単語をご紹介してきましたが、なんと、単語と単語をまたいでフラッピングが起こることもあるんです。

というと、「げーっ!」という声が聞こえてきそうですが、きっと今までも耳にしたことがあるはずです。こちらも声に出して読んでみてください。

① Can I get a glass of water?
→ 「ウォラー」の部分だけでなく、get(t)+a(母音)がつながって「ゲラ」グラスオブウォーラーのように聞こえる。お店で使う超頻出フレーズです。
② I need to get it done.
→ get itが「ゲリッ」みたいにつながって聞こえる。
③ What are you waiting for?
→ whatの最後のtとareの頭の母音がつながって「ワラユー」に。疑問文の出だしで頻発するパターン。さらに、waitingの「t」が「ウェイリン」になる。進行形でよく出ます。
Forget about it.
→ aboutのtとitがつながって「アバウリッ」に。「気にしないで」の意味で使うカジュアル表現で、これも単語またぎの典型。

どうでしょう、実際に読んでみたら「確かに、こうなってる!」と思ったのではないでしょうか。

テストや検定で要注意の聞き取りポイント

ここまでお伝えした以外にも、リスニング問題で特に狙われやすいポイントがあります。

まず、数字や時間を聞き取る問題です。
thirtyとthirteenの区別は、フラッピングが絡むと急に難しくなります。thirtyは「サーリィ」、thirteenは後ろにアクセントがあるので「サーティーン」のまま。この違いが聞き取れるかどうか。

次に、場所や状況を問う問題
「彼らはどこにいますか?」など場所を問う問題で、「~に」を表すat aが「アラ」と聞こえて、前置詞を聞き逃すケースがすごく多いです。

最近ではバリエーションが増えてきてはいますが、それでもまだまだ、リスニングテストではアメリカ英語話者が登場することが多いです。つまりフラッピングは避けて通れません。日頃からアメリカ英語の音声に触れておくことを強くおすすめします。

魔法みたいに英語がクリアに聞けるようになる!

「tがラ行になることがある」と知っているだけで、今までまったく聞き取れなかったフレーズが急にクリアに聞こえたりします。
これまでスペル通り、カタカナ読みを期待してリスニングに挑んでいた人がいたら、まずはこの記事で紹介した単語だけでも、意識して聞いてみてください。きっと魔法にかかったような気分になれるはずです。

・アメリカ英語では母音に挟まれた「t」が「ラ行」の音に変わる(フラッピング)
・ただし、tの後ろの母音にアクセントがある場合は起きない
water、better、littleなどの頻出単語で練習するのが効果的
get itのように単語をまたいで起きるパターンにも注意

最後に強調したいのは、知っているだけではまだ弱い、ということです。聞き取る練習はもちろん必要ですが、それと同じくらい、自分で同じように発音できるようになるのを目指してください。

自分が口にできる音は、聞き取りやすくなります。この記事で紹介した単語、例文だけでもいいので、5回ずつフラッピングした音で読み上げてください。魔法にかかるのが早くなりますよ!